愛を邪魔する霊障

第四回 娘のいじめに隠された、母の秘密

「沙希さんのことでお話があります。至急、学校までいらしていただけますか?」中学三年の一人娘のことで、担任の先生から電話がありました。「どうかしたんでしょうか?沙希が何か…」先生の緊迫した口調に不安になって尋ねましたが、先生は「とにかくいらしてください」の一点張り。身支度もそこそこに、自転車で学校へと向かいました。
学校へ着くと、応接室に通されました。しばらく待っていると先生と沙希が入ってきたのですが、沙希は家では見せたことのないような不貞腐れた表情をしているのです。
「実は、クラスでいじめられていると訴える女子がいまして…。その子が言うには、沙希さんがいじめの首謀者であるそうなんです」「沙希!本当なの?」私が呼びかけても、沙希は憮然とした表情のままそっぽを向いています。
「いじめってどんなことをしたのでしょうか?」思い切って尋ねると、それは想像を絶する仕打ちでした。ターゲットの子のかばんを隠す、彼女の給食をわざと落とす、ノートに「ブス!ウザイんだよ!」などと落書きしていたというのです。
「沙希、なんでそんなひどいことを!」私は娘のもとへ駆け寄り、肩を揺さぶりました。しかし、沙希は決して私と目を合わせようとしません。家では素直で明るく、学校のこと、友達のこと、好きなミュージシャンのことなど、なんでも話してくれるのに…。
「沙希さん自身、悩んでいることがあって、その鬱憤をいじめで晴らしていたのだと思います。おうちでよく話を聞いてあげてください」先生のその言葉に、思わず涙ぐむ私でした。

家に帰り、沙希と向き合っても、彼女は口をつぐんで何も語ろうとしません。怒っても、泣いても、やさしくしても、頑なな態度を崩そうとしないのです。
「沙希、いいかげんになさい!貴女のせいで、どれほど友達が傷ついたかわかっているの?」
私は思わずカッとなって沙希を平手打ちしていました。すると、頬を押さえた沙希がやっと私を見返したのです。そこには激しい憎しみの炎が燃え盛っているではありませんか。 「お母さんに言われたくない!お母さんだって私やお父さんを傷つけることをしてるじゃない!?」私はハッとして口を両手で塞ぎました。その隙に沙希は二階の自室へ駈け込んでしまったのです。(まさか、まさか沙希はあのことを知って…?)

誰にも相談できず、すがったのが電話占いニコールでした。圓渉(えんしょう)霊能者は私が言い淀んでいたことも、すべてお見通しでした。
「貴女は二年前から不倫をしていますね。それも、お嬢さんを指導する立場にある人と」 私は深いため息をつきました。すべて先生のおっしゃる通りです。沙希の家庭教師と深い関係になり、いけないと思いながらもズルズルと関係を続けていました。「お嬢さんは貴女と彼がホテルから出てくるのを偶然見てしまいました。それから貴女のことを時々尾行するようになり、定期的に貴女と彼が会っていることを知ったのです」 「そうだったんですね」思わず、電話口でへたり込んでしまった私。そこへ追い打ちをかけるような圓渉霊能者の言葉がありました。
「お嬢さんは貴女の彼、家庭教師の先生に想いを寄せていたのです。だから尚更ショックは大きかったのでしょう。それ以来、お嬢さんの波動は大きく乱れ、自分でもコントロールできない破壊衝動が起きています」「圓渉先生、助けてください」私が何も語らなくてもすべてを察知してくれた圓渉霊能者になら、きっと助けていただける。そう信じてすがるしかありませんでした。「そして、貴女自身の波動も乱れています。お二人とも一度に修正できるよう、念を送りますね」そして、電話が急に遠くなったかと思うと、耳ではなく、心で呪文のような歌を聴いている感覚がしました。知らぬ間に身体の力が抜け、私は座っていることもできず、床に大の字に寝そべっていました。少しまどろんでいたのでしょう。気がつくと、横に沙希が同じような態勢で寝そべっていたのです。閉じた娘の目からはとめどなく涙があふれていました。
「もう大丈夫です」圓渉霊能者の声でハッと我に返った私を沙希がじっと見つめています。その目に憎しみの影はなく、悲しみに満ちていました。
「沙希、ごめんね。許して!」泣きながら沙希を抱きしめ、号泣していた私。沙希も泣きながら、それでも「お母さん」と呼んでくれました。

それ以来、私は家庭教師の彼ときっぱり別れました。沙希は以前よりはぎこちなくなりましたが、それでも私と笑顔で話してくれています。学校の先生に聞いたところ、いじめもぴたりと止んだそうです。これからは道を外すことなく、沙希のことを第一に考えて生きていきたいと思っています。圓渉霊能者には本当に感謝しています。どうもありがとうございました。
福岡県福岡市 山本由美子さん(35歳)

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