愛を邪魔する霊障

第二回 過去の傷から転落の道へ

昔からおしゃれが大好きで、流行に敏感な方でした。高校卒業後は、迷わずアパレルメーカーの販売員として就職。自社の商品はもちろん、職場が百貨店ですから、他社の服にも目移りしてほしいものは際限なく買っていました。お給料はほとんどカードの引き落としで消え、次第に家賃や食費にも困るようになってきたのです。最初は実家に連絡して仕送りしてもらっていましたが、父に「生活できないなら帰って来い!」と怒られたのを機に、実家を頼るのはやめにしました。
そうなると、自然に足は消費者金融のキャッシングコーナーへ。最初のうちは次のお給料で返せるくらいのローン額だったのですが、利子が高いため、次第にローンを返すために他の消費者金融から借りなければなりません。私は典型的な多重債務者となっていました。
販売員のお給料だけではとても返せないため、私は退職し、キャバクラに勤め始めました。すると、今までの4、5倍ものお給料が入ってきます。そして借金が全額返せると、また私の悪い虫が現れたのです。
キャバクラ嬢仲間はみなブランドもののバッグやアクセサリーをたくさん持っています。私も負けじとブランド物をカードで買いあさり、またお給料を超えた請求書が届いたのです。そこからは同じパターンでした。消費者金融で借り、多重債務者になり…キャバクラのお給料でも返済できなくなった私は、今度はヘルスへ転職しました。
毎日男性客の性器に触れなければならない仕事に、みじめさと自己嫌悪で涙が出ました。なぜこうなってしまったのだろう。私はなんて馬鹿なんだろう…。絶望に陥った私の目に、ある広告が飛び込んできました。それが電話占いニコールだったのです。

「こんなに波動が乱れているのは珍しい…貴女、大丈夫ですか?」
花音霊能者にやさしく問いかけられ、私は電話口でわっと泣き出しました。すると花音霊能者は私が事情を説明しなくても、すべて霊視で読み取ってくださったのです。
「大変でしたね。貴女は自分で自分を責めていますが、貴女自身の力ではどうしようもない、波動の乱れがあったのです。子供の頃からの積み重ねですね。貴女は辛い少女時代を過ごしたのではないですか?」
花音霊能者には霊視でそこまで見抜けるのかと、私は驚きのあまり言葉が出ませんでした。私は小学5年生の頃から高校を卒業して家を出るまで、同居していた叔父に性的な暴行を受けていたのです。両親にも友達にも言えず、ひとりでずっと耐えてきました。
「貴女は何も言わなくて結構です。私には貴女の辛さが自分のことのように感じ取れます。長年に渡る精神的苦痛のせいで、精神波動が大きく乱れ、自分では抑えきれない破壊的な行動に出てしまったんですよ。貴女が悪いんじゃない。自分を責めるのはやめましょう」
花音霊能者の言葉に私はただ泣きじゃくるばかりでした。「これから波動修正を行います。私も、ここまで大きく乱れたぶれを修正するのは初めてなので時間がかかるかもしれませんが、全身全霊を込めて行いますから、信じていてください」
花音霊能者の声が歌うようなメロディに変わりました。それを聴いているだけで、傷ついた心が癒されていく気がします。強張っていた身体が少しずつほぐれていくのを感じ、その心地よさに私は思わずため息をつきました。その直後、メロディが呪文に代わり、今度は頭の奥がじんじんと痺れるような感覚になりました。脳裏には子供の頃の楽しかった思い出だけが甦ってきます。そこには無邪気に笑う私が見えました。
「もう過去の傷に振り回されるのはやめましょう。貴女の波動は正常に戻りました。これからが本当の人生ですよ。しっかりね。まずはご両親にすべてを話しましょう。そこから道が開けますよ」
最後までやさしかった花音霊能者の言葉に後押しされ、私は叔父に乱暴されていたことから、借金のことまで、すべて両親に打ち明けました。母は泣きながら私を抱きしめてくれ、父は「気づいてやれなくてすまなかった」と頭を下げたのです。
叔父はすでに結婚して家を出ていましたが、後から聞いた話ですと、父は叔父を殴りつけ、肋骨と前歯を折ったのだそうです。借金はすべて父が肩代わりしてくれ、私は実家から近い医療機器メーカーで事務の仕事をすることに。
今は服やバッグを見ても、ほしいという気持ちになりません。買いあさった服の半分以上をリサイクルショップに売りましたが、手持ちの服だけで十分満足しています。これからは真面目に働き、お給料で少しずつでも両親にお金を返していきたいと思っています。
どん底の生活から救ってくださった花音先生、ありがとうございました。
愛知県名古屋市 山下智香さん(25歳)

ページのTOPへ